ネットを見ると禁煙の手段に電子タバコを進めているサイトが多々ある。電子タバコは専用の液体を加熱して蒸気を吸入するもので発がん物質であるタールを吸入しないので有害性が少ないと宣伝している場合もあるようだ。また、最近は電子タバコとは違うがiQOSという煙の出ないたばこをコンビニでもよく見かける様になった。
かなり以前から「すいたくなったら禁煙パイポ」なるパイプみたいな禁煙補助具がスーパーなどにあったが、実際に電子タバコが禁煙に役立つかどうかを調べた論文が、3月号のLancet Respiratory Medicine に載っている。禁煙補助としての電子タバコが有用かどうかを調べた文献をpubMEDなどで検索し、コントロール群の存在している20件のコホート、横断試験、または臨床試験をメタ解析してある。メタ解析では禁煙の手段に電子タバコを使用した場合に電子タバコを使用しないで禁煙した場合に比べて禁煙に成功した割合はむしろ28%少なく統計的にも有意であった(オッズ比0.72、95%CI;0.57-0.91))。また、電子タバコを使用する人と、禁煙に関心がる全ての喫煙者と比較したところ禁煙に関心がる電子タバコ使用者で禁煙の割合が増えているわけではなかった(全ての禁煙に関心がある喫煙者の喫煙継続オッズ比0.86,95%CI 0.60-1.23,禁煙に関心がある電子タバコの使用者の喫煙継続オッズ比0.63, 95%CI 0.45-0.86; p=0.94)。
たばこが止められないのはニコチン依存症の為である。根性や、根拠のないデバイスに頼るのではなく、薬剤師や医師と相談しながら自覚をもって禁煙に取り組んだ方がよいようである。またもっと大事なことはこれ以上新規の喫煙者を増やさないように啓蒙することだと私は考えます。
電子タバコと禁煙
2016年03月10日